自動運転技術と未来への取り組み

はじめに

オートモーティブ事業部の中西 葵です。事業部内の各プロダクト立ち上げのタイミングで様々なプロダクトにかかわらせて頂き、現在は、モビリティインテリジェント部という、オートモーティブ事業部の中でも共通的な役割を持って先端の技術に関わらせて頂いております。

先日、「自動運転技術の技術ロードマップと未来予測」というテーマで外部のイベントで登壇させて頂き、その一部をITエンジニアがオートモーティブ領域で活用している技術として抜粋してこちらの記事で共有させていただく事になりました。

ディー・エヌ・エーでは自動運転関連サービスのみならず周辺技術や有人時代から積み上げることで世の中に価値を還元したいという想いでモビリティサービス基盤を着実に構築し実績を積み上げていっております。

「自動運転業界は興味があるけど遠い世界」と感じているITエンジニアの方々にオートモーティブ事業を少しでも身近に感じて頂けましたら幸いです。

  • 自動運転技術の基礎
  • 自動運転周辺IT技術
  • 技術領域別の取り組み

の大きく3つに分けて解説させて頂きます。

自動運転サービス

自動運転というとどのようなものを想像されますでしょうか?

まず、AI、人工知能などの言葉と並び高度な技術を想像される方も多いでしょう。既に世界中の多くで語られている通り、人間同様にどこでも走れるような自動運転技術というのはまだまだ遠い未来の話ですが、限定的なエリアであれば既にサービスとしても始まっています。

国外の話になりますが、ちょうど先週発表になったのが元GoogleのWaymoが提供を開始したWaymo Oneです。利用できる場所もユーザーも限定的ですが、アプリで24時間いつでも車を呼び出して利用することが出来ます。

【参考】Introducing Waymo One, the fully self-driving service


自動運転技術の基礎

自動運転技術というと大きく「認知」「判断」「制御」に切り分けて話されることが多く、それぞれ以下の通りの内容です。

認知

ライダー、レーダー、カメラ、その他のセンサー類を用いて、車両周辺の障害物や周りの車の状況、車線、信号や歩行者等をリアルタイムで収集する技術です。各種データを用いて自己位置を推定するのもこちらに入ります。

【参考】いまさら聞けないライダー(Lidar)入門

判断

上の認知で認めたデータを元に信号が赤だったり、前方に車両がいた時に停車する。路上駐車を迂回、車線変更の判断などを行います。こちらのNVIDIAの動画が自動運転における認知、判断の処理が視覚的にわかりやすく表現されているので是非御覧ください。

【参考】NVIDIA DRIVE Autonomous Vehicle Platform


制御

判断した内容を元に車に対して実際に指示を出す部分です。自動運転車両のソフトウェアはROS(Robot Operating System)をベースに構築される事が多く、上の認知や判断を行う部分もROSのノードの一つして動作させます。

【参考】ROS (Robot Operating System)

セーフティ

基礎的な技術は上述のとおりですが、安全面では様々な課題を残したままになります。他にもセキュリティ面や、物理的にセンサーが壊れた場合にどうやってそれを補完するのか?など安全に車両を運行する上で必要なことは多数あります。 例えば古いニュースですが、有名なニュースなので記憶に残っている方も多いでしょう。走行中のジープをリモートから乗っ取ることが出来るという衝撃的な話です。

【参考】ドライバーに衝撃:走行中のジープの乗っ取りに成功


自動運転に関わる技術と言っても一言ではまとめられず様々な技術の組み合わせで道路を走行できるようになります。

自動運転の周辺技術

ここまで簡単に自動運転技術について書きましたが、DeNAではご存知の通り自動運転技術の開発は行っておりません。現時点で自動運転技術はパートナー企業様に開発をお任せしており、我々は過去20年に渡って積み上げたITの技術をどのように自動運転社会に活かしていくことが出来るのかを中心にサービスレイヤーの開発を主に行っております。

自動運転に関わるIT技術とはどのようなものでしょうか?DeNAの過去の取り組みを中心にIT技術を使って実現可能なものを見ていきましょう。「自動運転を実現するために必要な技術」であったり、「安全性を高める為に有ると良い技術」、ドライバーレスでのサービスを行う上で「必要となるであろうシステム」、そして、「有人サービスの段階でも必要」とされる技術などがあります。

ナビゲーションシステム

自動運転で車両が走行する為にまず目的地まで道路を案内する必要です。一般的なナビゲーションと同様にどの道を選んで走行するのが最適かを選択し指示します。

地図データ(道路ネットワーク)

ナビゲーションを実現するために道路情報をデータとして必要になります。道路の緯度経度や幅、制限情報などの情報を最新に保つ必要があり、それらの情報とリアルタイムな交通情報を元に現在どの道路を通るのが効率が良いかなどを判断することになります。

マップマッチング

地図データをナビゲーションに使用するためには自己位置を出来る限り正確に把握する必要があります。しかし、GPSのデータは正確ではない為、計算によって一番確率が高い場所を推定する為の技術です。 こちらのUberの動画がわかりやすいので興味が有る方は参考にしてください


高精度地図データ(3Dの空間情報)

先の地図データでは移動する範囲を大局的に見た処理になりますが、一般的に自動運転車両が走行するためには3Dの空間データを元に自己位置をより細かく車両の位置を特定する事でどのように移動するべきかという判断を行うことが出来るようになります。


信号データ

多くの自動運転車両ではカメラの映像を元に信号を判断する仕組みを開発していますが、予め信号から情報を取得することができれば、より安全に車両を運行することが出来るようになります。以下の記事のようにディー・エヌ・エーでは信号機から取得したデータを自動運転車両に送り込むような技術にも取り組んでいます

【参考】日本信号とDeNA、信号情報を自動運転車に送受信する実証実験を実施

映像のストリーミング

将来自動車がドライバーレスで運行することを想定すると、有事の際にはリアルタイムで遠隔から利用者様とコミュニケーションを取る必要が出てきます。そのために私達が検証を行っているのが5Gという高速な次世代通信技術を使った映像のストリーミングです。

【参考】NTTドコモとDeNA、自動運転車の遠隔操作を実証実験へ---5Gを使って

リモート管制システム

映像のストリーミングに限らず、リモートから全車両の位置や状態を把握する仕組みも必要になるため、こちらのような管制システムの開発も行っております。


スケジュール管理

自動運転車両に限らず、車両のスケジュールを効率的にする為のスケジューラーの開発も行っています。例えば荷物を集荷、配達順序をサービス全体として効率化することで、少ない車両台数で同じエリアを運行することが出来るようになります。

車両管理

先日東京進出を果たしたMOV(旧タクベル)では神奈川県及び東京エリアにおいて数千の車両から常に車両の状態が送られています。その車輌情報を元に、ユーザー様向けのアプリからの配車リクエストをリアルタイムで処理するようなシステムが構築されています

技術領域別

過去にオートモーティブ事業部で自動運転関連の業務で取り組んできたのは上記のようなものがありますが、高精度地図、信号データ以外は自動運転に限定した技術ではなく、幅広い領域で使われている一般的なものだと思われる方も多いでしょう。

他にも自動運転に関わらない領域で活用している様々な技術を日々活用しております。事業部全体を見渡してみると、ほとんどのプロダクトで最新の技術を駆使して開発を行っています。「大量のデータ」を「リアルタイム」で処理することを考えるとレガシーな技術ではスケールせず、私達が求めるレベルの品質でサービスを提供できないのが一つの理由です。

オートモーティブ事業領域に限らず、現在コンシューマ向けのサービスを考えるときにはモバイルアプリの開発は欠かせない技術になっています。Android, iOS, Webなどそれぞれの領域でのクライアントアプリの開発が必要になりますし、当然のようにバックエンドも必要になります。

それらを含め、技術を領域毎に分解すると以下のように分けることが出来ます。

サーバーサイド

サーバーサイドといっても幅が広すぎますが、現在オートモーティブ事業部ではAWSやGCPなどのクラウド環境を中心に利用しています。最先端の技術を積極的に取り入れるため「Google Cloud Next '18」や「AWS re:Invent 2018」 といった海外カンファレンスにも積極的に参加し技術の向上をしています。

MOV(旧タクベル)では以下の記事のようにAWSの機能を存分に活用した仕組みで運用されており、その後も進化し続けています。

【参考】タクシー配車アプリ「タクベル」を手掛けるDeNAがAWSを選択した理由

中でも特徴的で面白いのがAWS IoTです。タクシーからリアルタイムで情報を吸い上げるためにはスケールからその後のデータ処理まで考えることが多く、大量のデータを扱うことを考えるとコストもしっかりと考えていく必要があります。新しい技術をどのようにサービスに取り入れていくのかを考えるのは情報も少なく難しいことも多いですが、AWSの方とも密に連携を取りながら設計、開発を行っております。

フロントエンド

最近はスマートフォンの性能も良くなり、アプリのみならずWeb上での高いユーザビリティも求められています。そんな技術を存分に発揮できる環境です。また、様々なデバイスからのアクセスを想定した作りをしていく必要があり、レスポンシブデザインを基本としてWebサイトの開発を行っております。

【参考】【図解】レスポンシブデザインとは?定義、特徴、メリットとデメリットを解説

モバイルアプリ

アプリ開発もオートモーティブ領域においては多岐にわたります。一般的なサービス同様にGoogle Play StoreやApp Storeに提供するユーザー様向けのアプリ、自動車とつながる端末として、MOVの乗務員様向けアプリ、後部座席用タブレット向けアプリ、実証実験用にクローズドで提供する場合もあります。また実験用にアプリストアでは提供しないアプリも多数開発を行っています。念のために書いておくとiOSアプリの開発はSwiftでAndroidアプリの開発はKotlinです。

MOVではBLE Loggerというデバイスの開発を行っており、Androidアプリとタクシーメーターの連携をBLE Loggerを経由して行っています。常時接続し続け、遅延やデータの取りこぼしが発生しないような設計など、アプリストアに提供しているような一般的なアプリ開発では経験することが出来ない領域の開発も行います。

データサイエンティスト

オートモーティブ事業部では日々膨大な量のデータが蓄積し、分析されるのを待ち続けています。データ分析を待つ間にも新しい機能開発は進み、やるべきことは増え続けています。リアルタイムに24時間入り続ける交通データを元に難しい課題にチャレンジしたい方にとってはとてもエキサイティングな環境がそこにあります。

AI

DeNAでは「AI×インターネット」をキーワードに事業を広げていますが、オートモーティブ領域においても同様にAIを活用したサービスの開発を行っています。現在、力を入れているのがタクシーの需要予測になります。蓄積したデータとリアルタイムで入ってくるデータを元に需要予測を行った上でリアルタイムでナビゲーションを行うという世界を見渡しても例を見ない取り組みを行っております。こちらは私の所属するモビリティインテリジェント部を中心にAI事業部の皆様と開発を行っています。我こそはという方、興味があるので話を聞いてみたいという方、是非ご連絡お待ちしております。

まとめ

将来やってくる自動運転社会になる時に必要になるであろうサービスを有人の時代から徹底的に作り込み、ドライバーレス時代になったときにはスムーズに移行できるように長期的な視点に立ってものづくりを行っている集団がDeNAオートモーティブ事業部です。未来を作る為には大きな夢をもって難しい課題にチャレンジする必要がありますが、私達が使っている技術は特殊なものではないということを少しご理解いただけたかなと思います。新たなチャレンジを探している方、是非ご一緒に未来を創っていきましょう!

ツイート
シェア
あとで読む
ブックマーク
送る
メールで送る